接着系アンカーボルトの事故?!経年劣化?

この度のトンネル天井崩落事故に関することで、思うことあり…書きとめてみました。(H12.12.6 時)
元構造設計担当の見解です。かれこれ10年離れているので間違っていたらごめんなさい。

■構造計画部分■(天井材は非構造部ですが)
アンカーボルトは、金属アンカーと接着系(ケミカル)アンカーとに大きく2つに分類され、概ね前者は非構造部で利用され、後者は構造部として使い分けが原則行われている。そして、耐震改修工事で接着系アンカーを利用するのは今でも常識。
しかし、この事故が起きてしまったということは、(長期荷重と振動などなど)不測の事態を想定して考えると、設計計画上正しかったのか疑問が生じる点でもある。

構造上、接着系アンカーボルトを引っ張った時の破損の状態は、「コンクリートのコーン破壊(コンクリートがはがれ割れる状態)」と、「アンカーボルト自体の破断によるもの」とされている。
つまり、構造計画上【接着部の破壊は許されていない】

なので「接着材部(ケミカル)」>「コンクリートやアンカー」の順番に耐力があるとされてて、今回もその様に設計している・・・ハズ・・・今回のアンカーボルトが16mmだったので、長期荷重にしても1本当たり4トンは負担できるし、抜け落ちた箇所の絵では2本なので、鉄骨支柱の中央部だけでも、長期8トンの許容はあるはず。
(写真ではなんかもっと細かくアンカーされてた感じ)
天井板の荷重が1トンならば、中央は仕切り板を含めても1トンは超えないのかな???
仮に800キロだとすると、長期荷重の安全率10倍程度?!

私は土木シロウトだけど、土木って安全率どの位なのだろう。
安全率10倍って数字みちゃうと恐ろしく安心しちゃうのは・・・職業柄。
建築なんて構造計算上、安全率1以下の建物がゴマンと建っていたりもするからね。

ちなみに、アンカーの埋め込み長さ、8d=8×16=130㎜は正しいやり方。
・・・あれ? 短期荷重でも引き抜きが生じる部分は、12dとしてたから、今の考え方ではNGかも
・・・埋め込み長さ200mm欲しいところか?!
  
資料をチェックすると、16mmの接着系アンカーの引き抜き耐力は1本当たり5.6トン程度(当時とは違うかもしれません)

■経年劣化と主たる事故原因?!■
アンカーボルトが抜け落ちたということから事故原因を推測すると。
今朝ニュースで観た画像からでは、コンクリートのひび割れから、しみ出た水の痕跡があり、おそらくコンクリートと接着材間の「付着強度が低下したのが原因」と推測出来る。

つまり、【ボルト←(1)→接着剤←(2)→コンクリート】の(1)と(2)のどちらかが想定する付着耐力を失った訳だから、材料の性能から考えて(2)かな?というのが私の見解。
コンクリート部のクラックに水分が入ると、凍結などでひび割れが広がる。それらが接着剤とコンクリートを剥離させる原因だったのでは???
若しくは、接着材そのものが、経年劣化で付着強度が低下してしまったと言う最悪の事態。この場合、同種の接着材にて施工した箇所すべてが、経年劣化で危険な状態。
もう一つ加えると、正しい施工がされていなかったから生じたと言う因子もある。
調査発表が非常に気に成る。


最後ですが・・・
事故に遭遇してしまった方々心からお悔やみ申し上げます。
二度とこの様な事故が起りませんよう願うだけでなく、技術者はこの原因を追及する責務があります。
危険な個所を無くし、安全なことへの追求こそ忘れてはならないことです。


追記:12.12.10
ケンプラッツにて、図面が公開されております。
ケンプラッツ【天井板崩落】連結構造が大事故を誘因か

アンカーボルトのピッチは600㎜でした。
構造計算上さらに余裕があるようですが、今回の問題は構造架構的に「より不静定側」≒「節点数の多さ」が良かったのかもしれませんね。一つの節点が耐力を超えても脆性的な架構破壊をしないようなものが理想なのでしょう。
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プロフィール

Gaku

岳設計工房 代表 関口岳志です


-受賞暦-

第5回 佐野市水と緑と万葉のまち景観賞
岳設計工房

第2回 佐野市水と緑と万葉のまち景観賞
Tree Re-hair

第2回 さのし建築景観賞
Natural Healing 「凛」